ウェブマガジンTOP >産学ジョイント倶楽部 >2006年08月22日
産学ジョイント倶楽部

日本らしさをそのままに。
人情を大切にした近未来的文化を創造せよ!

日本が誇る教育界の雄「早稲田大学」×下町ながら日本屈指のハイテク技術を有する「墨田区」



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下町ときいて何を思い浮かべるだろう?真っ先に「両津勘吉!」と浮かんだならきっと現代っ子の証(笑)。祭りとか長屋とか気っ風がいいとか、よき昔の日本のイメージを持つ人が多いだろう。今回は、そんな下町が実はハイテクの宝庫だった、というお話。

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友成 真一教授


■所属

早稲田大学理工学術院


■略歴

京都大学・大学院工学研究科終了後、
80年通商産業省(元・経済産業省)入省。

86年在イラク日本大使館
93年JETROニューヨークセンター
96年ロシア東欧室長
2000年国土交通省企画官

2002年より在職。地域経営、行政経営、自分経営の3ゼミを大学内で立ち上げる。

地域と大学をテーマに墨田区、本庄地域、かずさ地域、関西と幅広く活動を展開。

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墨田区に足りないモノ


東京都墨田区は、ものづくりの町、そして環境にやさしい町として現在売り出し中である。しかし他の区にあって、墨田区にだけないものがある。
−それは大学。
住宅地や工業地が密集しているため、大学のキャンパスが建てられるような広い土地がなかったのだ。そこで墨田区の人々は考えた。「よし!じゃあ大学の機能だけもってこよう!」
当時盛んになりつつあったTLO(technology licensing organization)という、大学の機関と提携して大学の特許技術を民間で利用するシステムを使って、区内の中小企業に力をつけようという意図である。キャンパスという入れ物は作れなくても、大学の研究機関の技術を利用した新たな製品が作り出せるかもしれない―。

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墨田区の特殊な土地柄


もちろんこのソフト的連携には提携する大学が必要である。そうして巡り合ったのが教育界の雄、早稲田大学!いきなり大物を釣り上げてしまった。(◎△◎;)

実学を重んじる早稲田大学でも、貴重なフィールドワークの場として、様々な側面をもつ墨田区に目をつけていたというのだから、まさに運命の出会い☆といえるだろう。
そう、墨田区はちょっと特殊な土地柄なのだ。さすが下町だけあって長い伝統や歴史的な遺産を数多く持っているのだが、地域の特色は北と南できっぱり分かれている。区を二分する北十間川から北は向島、いまだに下町の名残を残しておりメッキを始めとする金属製造業が盛んな土地であるのに対し、南にはニットで有名なファッションの街、本所地区が広がっている。

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この本所地区は戦争と震災で2度も焼け野原と化し、一から都市計画を練って区画整理がなされたが、当時はほとんど人が住んでいなかった向島地区に手が加えられることはなく、昔ながらの街並みが多く残ることとなった。
こうも大きく違うこの二つの地区に共通することは、高い技術水準を誇る製造業が存在しているという点である。
この技術を利用しない手はない!とバリバリハイテク化を目指すのかと思いきや、しかし墨田区と早稲田大学は人の交流にも重きを置いた。“大学”や“行政”という取っつきにくさを取っ払い、人と人とのつながりから始めることに重要性と必要性を感じたからだ。

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事件は現場で起きている


スタートしたプロジェクトの中の一つに、早稲田大学のオープン科目として墨田区で学生たちがフィールドワークを行う授業がある。理工学術院の友成真一教授による、「地域を経営する」(通称:地域経営ゼミ)である。

えっ、学校で授業するんじゃないの?!なんてヌカす無知な学生が生半可に取れる授業ではない。なんたって、授業の大半を現場に赴いて行うのだから。実際に墨田区に足を運び地域について知り、そして問題点を話し合い、グループワークを通して地域に貢献するプロジェクトを立案し実行する。さらには、その成果を墨田区の人々にプレゼンテーションするのである。まさに「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きてるんだ!!」を地で行く授業だ。

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墨田という地域を早稲田の大学生がかき回す


なぜこのような授業を設置したのか。すみだ中小企業センターの郡司剛英氏は、「昔から、若者、そしてよそ者がかき回す、と言います。私たちが地域経営ゼミの学生に期待するのも、墨田以外の土地で生まれ育ってきた人たちが、学生にしかできないものの見方でもって、この墨田という地域をかき回してくれることです」。と語ってくれた。

つまり、要求されるのは学生ならではの視点、そしてやる気と根性だ。研究者のように知識があるわけでもなく、企業のように技術やノウハウを持っているわけでもない学生が、目に見える形の成果を残すことは難しいが、今年で4期目になる地域経営ゼミの活動は、確実に地域に浸透していっている。

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世界初”太陽熱発電”より大切な風力発電キットの発明


また、理工学部と中小企業とで“世界初”を作り出した!それは太陽による熱発電。しかしその輝かしい発明より力を入れて取り組んだのが、精巧な風力発電キットの発明である。

小さい頃、学研の付録を毎回楽しみにしていたのは私だけだろうか?
自分で物を作ることが楽しかった。私のような純真で素直な子供が今は少ないのだろうか・・・。
いまどきの子供たちにもものを作る喜びや科学の楽しさをもっと知って欲しいという願いから、小さな子供でも作れる風力発電機の模型を作り出すことが提案された。しかし、たかが子供のおもちゃと侮ることなかれ。理工学部の要求は厳しかった。回転する部分を飛行機の羽と同じ構造にすることで風の抵抗を少なくしたり、作った後に捨てられないようなインテリア系のデザインにしたり・・・。
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伝統を継承しつつ近未来型の下町を目指す


他にも、センター試験で理科が24点だった私には、一度の説明ではちょーっと理解がムツカシイ様々な努力がなされたようだ。その風力発電模型に、太陽光発電と太陽による熱発電をつけておっきくした防災用モニュメントが墨田区の二箇所の公園にある。デザインも構造も多少違うのだが、公園に意外とよく馴染んでいて、見ているとちょっと面白い。

近々、2011年に誕生する新東京タワー周辺で、人力車に代わるような環境に優しい移動体を開発するためのコンペも開催される予定である。

早稲田大学と墨田区、そして民間中小企業との多岐に渡るコラボレーションは、東京の下町から思いもつかない最先端機器を生みだし続けるだろう。ロボットが引く近未来型人力車が、下町を走ることも夢ではない・・・かもしれない。


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