渾身のストレートが今日も神宮でうなりをあげる!
現役の大学生でありながら、スポーツ、エンターテインメントなどいろんなジャンルで活躍し、その将来が注目されているフロントランナーにスポットをあて、彼らの行動哲学に迫るインタビュー。WEB版オリジナルの第2回目は、21世紀枠で甲子園のマウンドを経験しつつ勉強をして東京大学に進学、国内最高峰のリーグ・六大学野球でその才能をいかんなく発揮している東京大学期待の楠井一騰投手にスポットを当て、野球にかける情熱や六大学野球での裏エピソードなどを聞いてみた。―――
楠井 一騰
ニックネーム:ボーズ
東京大学経済学部3年
1984年4月11日生まれ。
175cm 80kg
■高校野球の監督を務める父親の影響で小学校4年生から本格的に野球を始める。松江北高校3年時に21世紀枠で春のセンバツに出場。1回戦、福井商業戦で先発。その後1年間の浪人を経て東京大学に合格。2年時の春季リーグで法大戦でリーグ戦初勝利を挙げる。力のあるストレートが魅力の投手。
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甲子園から神宮へ、憧れの六大学野球
――まず甲子園はどういうところでした?
楠井 やっぱり小さい頃からの憧れの場所だし、知名度も高いし、鳥肌が立ちました。なにより観客の多さにびっくりしました。
――次に東大を目指したきっかけから聞かせてください。何でも六大学で投げたかったからだと聞きましたが?
楠井 そうです。そのためには、戦力的に東大が一番チャンスがあると思いました。もちろん、しっかり勉強したいというのもありました。
――神宮で投げたいと思ったのはいつから?
楠井 小学校5年生の頃、親父の監督生活20周年ということで教え子たちが集まって神宮で試合をしたんです。そのとき、僕もマウンドに上げてもらって、当時プロだった方に受けてもらったのですが、それが最初の関わりです。それから、高校2年のときに早大・東大戦を観に行って、スタンドの雰囲気を肌で感じたことでここでやってみる価値は相当あるなと思いました。甲子園よりももっと上があるんだと感じました。
プロ野球予備軍の集まる六大学野球という世界
――大学に入学して、初めて憧れの神宮で投げたときはどうでした?
楠井 ほんっと、震えましたよ。お袋やじいちゃんも観に来ていて、投げるまではめちゃくちゃ緊張しました。ただ、投げ始めたら関係ないです。気持ちを切り替えられないようではだめですから。
――そして、その翌週にはもう初勝利を挙げました。
楠井 まぐれもあったけど(笑)よう頑張ったなぁって思いましたね。
――憧れの舞台に立って、緊張でガチガチになってしまう人も多いと思うんですけど、楠井投手はなぜそうならないんですか?
楠井 一番根本は、練習をきちっとやっているからだと思います。やっぱり自信がないから不安になるわけで。例えばテストでも同じことで、勉強していなかったら、ヤマはったとこ出るかなぁって不安になりますよね。だけど、しっかりやっていればどんな問題でも来いやって思える。それはピッチングでも同じで、練習での確かな裏づけがあるとどこに投げても打たれないくらいの気持ちになるし、やっぱりベストを尽くすって事が大事だと思います。
――とはいえ、六大学野球ではプロ予備軍を相手にするわけで、そのあたりは実際どうなんですか?
楠井 自分が野球やってきた中でも最高峰だし、やる前はやっぱり怖い、ものすごく怖いですよ。ただ、始まってしまえば関係ないし、緊張しているのは相手も同じです。それに、所詮は人間同士ですから(笑)
――ベストを尽くすだけ、と?
楠井 そうですね。突き詰めていけば、相手は関係ないと思っています。相手が誰であれ、自分が出来ることをやりきって、力が上なら勝てるし、それで負けてしまったら相手が上だってことで仕方ないと考える。その開き直りが大事だと思います。
六大学野球に挑む東京大学・楠井投手の自己分析
――楠井投手の長所を3つ挙げてください。
楠井 パワー、度胸、気合。あと運ですね。
――運を入れると4つになってしまいますけど(笑)?
楠井 やっぱり、運も大事だと思うし、自分にもある程度あると思うんですよね。東大に入れたのも運ですからね(笑)
――でも、待っているだけでは運はまわって来ないですよね?
楠井 そうですね。やっぱり何もやっていない怠け者が成功するとは思えないんですよね。普段から何かを考えて、一生懸命やっているからこそぱっとひらめいたりアイデアが浮かぶのと同じじゃないでしょうか?
――話を聞いていると、気持ちや取り組む姿勢というのをすごく大事にしているように感じますが?
楠井 やっぱり、技術とかではないですね。ハートがすごく大事。このボール、打てるもんなら打ってみいって気持ちで投げてますからね。もちろん、その前にちゃんと技術を身に付けろよって思うし、その為に練習しているわけです。だから、技術もものすごく大事なんですけど、それには限界があるし、試合で力が発揮できなかったら意味がないですから。
――そういう考えが身に付いたのには何か背景があるんですか?
楠井 お袋が結構勉強教えてくれてたりしたんですけど、その中で自分で気づいたり、教わったことでもあるし、親父からもいろいろ言われました。
東京大学期待の楠井投手が目指す先
――最後に卒業後の夢を聞かせて下さい。
楠井 今考えているのは、プロ野球のエージェント(代理人)です。やっぱり(東大で野球部にいたという)人と違うところを活かさないと面白くないですし。ただ僕は法学部ではない(楠井投手は経済学部)こともあってかなり大変だし、まだそこまで考えていないと言えば考えてないです。漠然と、今の一番大きな目標です。
活躍の場を求めて受験→東京大学進学という道を選んだ男、楠井一騰。今後も六大学野球の聖地、神宮のマウンドで仁王立ちする彼が、卒業後はどんな道に進むのか。そして近い将来、野球界にどのような歴史を刻むのか。今から本当に楽しみだ。―――