いざF1への道を駆け上がれ!
ラフデッサン倶楽部創刊号で取材した阿部選手。現在彼はスーパーアグリの鈴木亜久里代表が主催するARTAcharenge2006シリーズに参戦している。去る5月21日には岐阜県瑞浪市で第3戦・第4戦が行われ、第4戦ではみごと優勝を飾った。大学とカートレースという忙しさの中で、それでも彼をF1の世界へと引き込むモノとはいったい何なのか。F1レーサーを目指す現役大学生のカートドライバー阿部光のその後を追った。―――
阿部 光
ニックネーム:ひかる
産業能率大学経営学部1年
1987年6月5日生まれ。18歳
レーサー一家に育ち、物心ついたときからF1レーサーに興味を持つ。小学校6年から本格的にレース活動をはじめ、2000年3月プロデビュー。2004年には全日本のカート選手権で全日本ランキング5位に食い込むなど、F1レーサーになるための階段を着実に昇っている。
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――この大会は阿部選手にとってどんな意味のある大会なんですか?
阿部 そうですね。今やっているレースがアグリさん(スーパーアグリ代表鈴木亜久里氏)主催のレースで、将来的にはアグリさんのチームでF1をやりたい、というのを目標にやっています。そのためにはいくつかの段階があるんですけど、この大会はフォーミュラのレーシングスクールに入るための大会で、先日おこなわれたのは、その中の1戦です。
――今フォーミュラの練習はしてますか?
阿部 去年まではずっとやってたんですけど、今年はレーシングカートのレースに専念したいんで、フォーミュラのレースの方は一時中断してます。
この大会が終わったらフォーミュラの練習を再開するつもりです。
――先日のレースの前日はどんなことをしたんですか?
阿部 まぁメカニック、スタッフと打ち合わせをして、今回は前回のレースに比べて、たくさんタイヤテストなり、エンジンテストをする時間があったので、もう本当にマシン的な部分ではミスがでないようにメカニックの方がけっこう働いてくれて。
で!!早く寝ました。(笑)
――レース前日はどんな心境だったんですか?
阿部 心境っていうか、レースの展開とかイメージトレーニングしてました。
――緊張はなかったんですか?
阿部 緊張とかはあまりしないんで。まぁ緊張というか不安はありました。自分1人でレースやってるって訳じゃないっていうのもあるし、速さに関しての不安は持ってる訳じゃないですけど、トラブル出ないかなぁとか、変な奴がぶつけてきたりしないかなぁとか、そういう不安は多少ありますけど。
――第3戦が9位に終わって、同日に第4戦があった訳ですが、レース前の心境はどうだったんですか?
阿部 第3戦の9位っていう結果は、マシントラブルの部分によるもので、僕自身走りに関してはノーミスでいってたんですけどね。で、第3戦終わった後、すぐ車を作りかえてくれて、第4戦の予選が6番手スタートだったんですけど、すぐ4番手まで上がって予選を終了。決勝前はすごく車の調子が良くなってることが、周りのお客さんだったり、スタッフが見ててもわかっている状態だったし、第4戦が始まるスタート前、自分でも「マシントラブルだけ出なければ絶対勝てるな」って気持ちでした。
――それで第4戦優勝した訳ですが、どんな気持ちでした?
阿部 そうですね、怪我から復帰して初めて今回ARTAcharengeで勝ったことと、まぁ正直怪我をしたときに引退を考えたこともあったので、そういう意味で全日本カート選手権で初めて優勝したとき以上にうれしかったです。
――カートではストレートのところではどのくらいスピードでるんですか?
阿部 だいたい130キロくらいです。
――レース前日のジンクスみたいなものはありますか?
阿部 ん〜動作的に何かをやるというのはなくて、でも、気持ち的には、「絶対自分より速い奴はいないだろ」って思ってレースやるのが基本になってきてるし、あと、負けるはずのないレースをやってるんで、まぁそれがジンクスって言ったらジンクスですね。
――この大会に出場している選手の中でライバルっていますか?
阿部 いや、基本的にいないですね。
――レースの前はやはりいろいろ作戦を考えるんですか?
阿部 まぁ周りを動かすってことですかね。そりゃ周りは周りで、自分の走りをしようとは思うけど、それをある意味コントロールしていかないと勝てないんですけど、自分はどう走りたいのかっていうイメージを強く持ってないと、周りを動かすことはできないじゃないですか。
だから、ついていった方が楽なんでわざと前を走らせたりするんです。僕がトップを走るときも、後ろにつかせたりだとか、わざと後ろについたりして、最後の最後にプッと前に出で…。
――マラソンの駆け引きに似てますね?
阿部 そうですね。まぁやっぱり、駆け引きは頭の中で多少なりとも考えてやるべきですね。
――最初の方からトップを走るのは良くないんですか?
阿部 ん〜、前を走ると多少プレッシャーとかがあるんで。でもまぁ僕はあまりプレッシャーを感じないタイプなんですけどね。(笑)
――そういえば今スポンサーってどれくらいついてるんですか?
阿部 今3つです。ただ、正直もっといろんなところから応援してほしいですね。やっぱりマシンテストとかももっとしたいんですけど、そうなるとお金がもっとかかるんで。
――将来的にはいつ頃フォーミュラの大会に出たいですか?
阿部 予定としては来年、遅くても再来年には出たいです。
――最後に何か読者に伝えたいことはありますか?
阿部 レースを見に来てほしいってことですかね。やっぱり、レースの楽しさをわかってほしいし、最初はどんなものか分からない人も多いと思うんですけど、1回、遊び感覚でも足を運んでもらってレース見てもらったら、けっこうお祭り騒ぎなので楽しんでもらえると思います。僕自身も楽しんでもらえるようなレースができるように頑張りますんで。
フォーミュラのレースでは、世界の最高峰がいわずと知れたF1、その下にF3がある。国内の最高峰はフォーミュラ・ニッポン。そしてそのフォーミュラ・ニッポンの下には、フォーミュラ・トヨタやFCJ(フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン)などがあり、阿部選手はそのレースに出るための準備段階にいる。
近日、ARTAのホームページにレース結果がupされるほか、ネット放送のDOING.TVで今回のレースが放送される予定だ。
このシリーズは全10戦で行われ、総合でチャンピオンになると800万円が支給され、さらにスポンサーがつくそうだ。現在の阿部選手の第4戦までの順位は5位。十分優勝が狙える位置についている。
次は7月2日(予定)に千葉の新東京サーキットで第5戦・第6戦のレースが行われる。入場料は多少かかるようだが、時間に余裕がある人は阿部選手を応援しに行ってみてはいかがだろうか。そこには生でしか味わえない感動があり、生でしか味わえない真実がある。―――